「生きる希望持てた」C型肝炎患者らから期待の声

 2020年のノーベル医学・生理学賞に5日、C型肝炎ウイルスを発見した米国などの3氏の受賞が決まった。世界中で年間100万人以上が亡くなるとされる病だが、現在は根絶への道筋も見えてきた。「世界中に希望」「教育や啓発の機会に」。今も治療を続ける患者らから期待の声が相次いだ。(木下未希、宇山友明)

 C型肝炎は、かつてウイルスが混入した輸血や血液製剤によって広がる感染症。ウイルスの発見で検査法や治療法が確立したが、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、感染に気付かないまま症状が悪化してしまうこともある。

 「C型肝炎撲滅への可能性を切り開いた偉大な研究だ」。受賞決定の3氏のうち、カナダ・アルバータ大のマイケル・ホートン教授と面識がある大阪大の松浦善治教授(ウイルス学)が功績を解説する。松浦氏は日本ウイルス学会の理事長も務めており、3氏の研究のもとにさらなる治療体制が発展・確立すれば「99%治療できる日がくる」と力を込めた。

 ただC型肝炎をめぐっては、現在でも国内で約150万人の患者がいるとの報告がある。松浦氏は「苦しんでいる人がまだ多くいることはまぎれもない事実」と指摘する一方、「この受賞で世界中の患者が希望を持つことができたはず」と述べた。

 「当時は不治の病という認識だった。治療も苦しく自殺も考えた。だが新薬の開発を機に希望が持てた」

 堺市北区の無職、橋本節男さん(75)はこう前を向く。約20年前、血液検査の過程でC型肝炎への感染が判明。治療は今も続いている。受賞が決まった3氏について「治療方法を編み出すきっかけを作ってくれた。患者として大変恩恵を受けた」と述べ、「(受賞により)C型肝炎のリスクや予防などの教育・啓発が進むきっかけになれば」と期待を寄せた。