静岡リニア着工問題膠着「水資源は折り返したが、生態系議論進まず」

インタビューに答える、静岡県の難波喬司副知事=2日、東京・大手町(松本健吾撮影)
インタビューに答える、静岡県の難波喬司副知事=2日、東京・大手町(松本健吾撮影)

 静岡県とJR東海が対立するリニア中央新幹線静岡工区のトンネル工事未着工問題の解決が、長期化の様相を強めている。県内のトンネル掘削に伴う大井川の流量減少への懸念をめぐる双方の主張は平行線をたどっており、JR東海が目指す品川-名古屋間の令和9年の開通は困難な情勢だ。静岡県中央新幹線対策本部長を務める難波喬司(なんば・たかし)副知事は5日までに産経新聞と単独会見し、水問題の議論は折り返しを過ぎたものの、生態系の議論が進んでおらず着工にはなお時間を要するとの見通しを述べた。

 この問題をめぐっては、JR東海の金子慎社長が今年6月、仲介役の国土交通省の藤田耕三前事務次官が7月、それぞれ相次いで静岡県の川勝平太知事と面会したが、対立は解消できず膠着(こうちゃく)状態が続く。

 JR側は、国が設置した有識者会議での議論を経て、流量減少に関連する追加データの提出を行うなど、早期解決に向けた動きを強める。

 難波氏は、「水資源の問題は50%以上のところまで来ている」と、JR側の取り組みに一定の評価を与えた。ただ、地下水位の低下などによる生態系の影響で大きな課題が残るが、「JR側が資料を出してこない」ためになおかなりの時間を要するとの認識を示した。

 静岡県とJR側との見解の相違は、リニア着工認可前の平成25年9月に同社が「工事によって大井川の流量が毎秒2トン減少する」との試算を示したことに端を発する。

 静岡県は、JR側の「姿勢」が協議停滞の原因だと指摘。一方のJR側は「静岡県の要求には実現困難なものもある。想定以上の湧水が発生すれば工事は止めるので、まずは工事を始めさせてほしい」と訴えている。

 静岡県の難波喬司副知事との主なやり取りは次の通り。

 --JR東海との議論の落としどころが見えない

 「静岡県は(南アルプスの環境への)影響がないことを分かりやすく説明してほしいと提案している。JR側がきちんと説明すれば終わる話だ」