相手からの「好意」を短時間に予想する脳メカニズム解明

高知工科大学フューチャー・デザイン研究所の伊藤文人講師=9月25日、高知市
高知工科大学フューチャー・デザイン研究所の伊藤文人講師=9月25日、高知市

 誰でも他者からの評判は気になるもの。自分が相手からどれくらい好かれそうかを予想することにかかわる脳のメカニズムを、高知工科大学フューチャー・デザイン研究所の伊藤文人(あやひと)講師(36)らのグループが解明した。相手の顔を見たときに自分が「好き」「嫌い」などと感じたこと(印象判断)を前提に、相手がどう思うかを予想(印象予想)しているという。研究成果は、自閉症スペクトラム障害や対人恐怖症といった、他者とのコミュニケーションに困難さを持つ人たちをサポートするためのトレーニング手法開発につながる可能性があるという。

脳の活動を測定

 伊藤講師によると、人は他者を見ただけで無自覚(自動的)に「自分がその人をどれくらい好みか」を考えていることは過去の研究で明らかになっていた。

 しかし、「他者から自分がどれくらい好かれそうか」を予想するプロセスが自分の意思と関係しているのかどうかは、脳メカニズムの観点からは解明されていなかったという。

 研究は2段階で実施。まずは第1段階として平成29年6~7月、北海道内の大学生60人に参加してもらい、脳の中で活動した領域を可視化することのできる機能的磁気共鳴画像法(fMRI)という手法を使い、脳の活動をみる実験をした。

 実験では、MRI検査機器の中に入った学生にさまざまな顔写真を提示し、学生は顔写真が見えたらできるだけ速くボタンを押す。次に別室で改めて顔写真を示し、自分がその人に対して抱いた印象を7段階で答えるほか、その人からどれくらい好かれそうかという予想を7段階で評定した。

 第2段階の実験は男子学生22人、女子学生21人が参加。男女別に4列に座り、順番に3分間ずつ正面の相手と会話した後、第1段階と同じように相手に抱いた印象や相手からどのくらい好かれそうかといったことを7段階で示した。

同じ場所で情報処理

 伊藤講師は、2つの実験で得られたデータを分析。その結果、顔写真を見ただけでは相関がみられなかったものの、会話後では相関が認められた。これにより、人は短時間の会話によって「自分が他者からどれくらい好かれそうか」という印象を前提に、「相手が自分ともっと話したいと思っていそうか」などの予想を立てていると考えられることが分かったという。