【書評】『フィッシュ・アンド・チップスの歴史 英国の食と移民』 - 産経ニュース

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書評

『フィッシュ・アンド・チップスの歴史 英国の食と移民』

 英国料理と聞いてまず思い浮かぶフィッシュ・アンド・チップス。蒸気トロール船の登場や冷蔵技術の発達で生の白身魚が大量に供給されるようになった19世紀、労働者階級向けの安価で栄養豊富、かつ美味な持ち帰り食として誕生し、かつては中産階級から侮蔑されつつも、1世紀を経て英国の「国民食」の座に上り詰めた。

 しかし、その起源をたどれば魚の衣揚げというユダヤの食文化に行き着き、普及に際しては移民の存在も無視できない。英国近代を象徴する食べ物の形成史から、階級対立や異文化接触による影響など、今日なおホットな問題が見えてくる。(パニコス・パナイー著、栢木清吾訳 創元社・2400円+税)