アナログ捜査は今も現役、1万枚の切符の山から証拠の1枚

 ただ現場や盗難車に男の指紋はなく、逮捕に踏み切るのにカメラの映像だけでは不十分だった。盗難車と男を結びつける確たる証拠が必要だった。

 「切符に指紋が付いているのでは」。ある捜査員がひらめいたのは3月下旬。男の関与を裏付けるために1枚の切符を見つける宝さがしが始まった。

見当たり、似顔絵も

 防犯カメラやドライブレコーダーの普及に加え、科学捜査の進歩などにより、事件捜査ではデジタル化の比率が高まっている。

 全国の警察は今年3月、犯行現場の防犯カメラやSNS(会員制交流サイト)などの顔写真を、過去に逮捕した容疑者の顔写真データベースと照合するシステムの運用を開始。顔の特徴が一致する人物の情報を迅速に入手できるようになっている。

 その一方で、昔ながらの捜査手法も健在だ。雑踏の中から容疑者を見つけ出す「見当たり捜査」は昭和53年に大阪府警が初めて導入して以降、現在も多くの都道府県警が採用。捜査員が数百人分の容姿の特徴を覚えた上で、人が集まる駅や繁華街を駆け回る、まさに「足で稼ぐ」捜査だ。

 目撃者の証言を基に描く似顔絵捜査もその一つ。捜査に携わる技能員が使うのは電子機器ではなく、鉛筆とA4サイズの紙。髪形や服装、目の大きさなどを聞き出し、1~2時間にわたり、書いては消してを繰り返す。見当たり捜査で捜査員が持ち歩く資料になることも多く、「現場での役割は大きい」(兵庫県警幹部)とされる。

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