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嘘の電話で金銭をだまし取る特殊詐欺の被害は絶えないが、高齢者を狙う悪質な犯罪はそれだけにとどまらない。「不用品を買い取る」とうたって高齢者宅を訪問し、売るつもりのなかった貴金属を買い取る訪問購入もその一つだ。法律で定められた取引を行わず、強引に安く買い取る押し買いが多いが、中には大切な品物を持ち去られたまま代金が支払われずに泣き寝入りするケースも。被害は全国で相次いでおり、警察や国民生活センターは注意を呼びかけている。
強引に迫られ
「ブランド品のバッグとかないの。買い取ってあげる」
今年2月、大阪府内の民家を訪れた古物商の男(36)は、住人の60代女性にこう持ちかけた。女性は電話帳の広告をみてエアコンの引き取りを依頼していたが、男はエアコンには目もくれず、女性が見せたアクセサリー入りの宝石箱をその場で1万5千円で買い取った。
さらに、女性宅にあった茶器や絵画なども「高く売れる」といって持ち去った。女性の購入額は計2千万円以上のものだが、その後連絡がなく、不安に思った女性が弁護士を通じて返品を要求。それでも、一部は戻ってこなかった。
この男は、昨年9月から今年2月にかけ、府内の別の60~80代の女性2人ともアクセサリーや有名ブランドのバッグ、腕時計を60万~200万円で買い取る契約を交わしたが、支払ったのは数万円のみ。女性らが支払いや返品を要求しても一向に音沙汰がなく、1人の女性の知人が2月、「バッグなどをだまし取られた」と大阪府警に相談した。