きょうの人

正代直也関(28) 大相撲秋場所で初優勝、大関昇進へ

優勝を決め感極まる正代=両国国技館(桐山弘太撮影)
優勝を決め感極まる正代=両国国技館(桐山弘太撮影)

 大相撲秋場所千秋楽で初優勝を決め、熊本県出身力士として初めて賜杯を抱いた。場所後の大関昇進も確実にし、二重の喜びだ。「信じられない。相撲人生で一番緊張したかも」。優勝を決めて引き揚げた花道の先。一緒に闘ってくれた付け人や兄弟子の井筒親方(元関脇豊ノ島)の姿を見ると涙が止まらなかった。

 東農大2年時に学生横綱に輝くなど実績を残した。世間に最初に名前が知られるようになったのは十両昇進のとき。記者会見で誰と対戦したいか尋ねられると、「できればみんな当たりたくない」と答えた。ネガティブ力士という愛称が付いた。

 弱気だったあの時の面影はない。稽古を重ねて力を付け、今年1月の初場所や7月場所で千秋楽まで優勝争いを演じた。徐々に自信がつき、今場所前は「優勝したい。結果を残したい」と平然と大きな目標を口にできるまでになっていた。

 郷土愛が強い力士でもある。今年は熊本・宇土の地元後援会にくまモン柄の黒い反物を贈った。マスクに変わり関係者に配られている。今場所前はコロナ禍で帰省できず寂しい思いをしたが、その分、筋力トレーニングに励み、悲願につなげた。県勢初の優勝に地元は沸いており、すでに宇土でパレードの計画も進む。

 28歳は支えてくれた大声援に感謝し、「少しでも楽しんでいただける相撲を取れたかな」とニコリ。大関として土俵に立つ11月場所は、さらに視線が集まる。「うれしい気持ちもあるし、プレッシャーにもなる。あまり浮かれないようにしていきたい」。かつてのネガティブが、ほんの少しだけ顔をのぞかせた。(浜田慎太郎)

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