書評

『後藤新平の「劇曲 平和」』後藤新平研究会編

 初代満鉄総裁や東京市長を務めた政治家、後藤新平が劇曲(ミュージカル)まで書いていたとは知らなかった。正確に言えば、後藤は企画・原案で、筆をとったのは、後藤逓信相時代の部下で詩人の平木白星(はくせい)である。

 「平和」と題された劇曲は明治末に書かれた。背景として、日本の大陸進出などを警戒してドイツ皇帝らが掲げ、白人社会に広がった「黄禍論」がある。作品の中で日本人に投げつけられる人種差別的な悪口の数々…。いやいやそうではない。「日本の志すところは東西文明の融和」。三種の神器とは平和・文明・自由なのだ。至言である。(藤原書店・2700円+税)