金星に生命の痕跡? 驚きの発見について知っておくべき5つのこと

4.生命体といえば火星ではなかったのか?

科学者たちは何十年も前から、金星には生命が存在しうる可能性があると主張してきた。しかし、木星や火星、そして土星の氷の衛星エンケラドゥスばかりが注目され、金星はあまり熱心に調査されてこなかった。

その理由は簡単である。金星の表面温度は平均で420℃以上あり、密度の高いその大気は地球の海抜ゼロ地点における気圧の90倍を超える表面気圧を生む。しかも雲は80パーセント以上が硫酸だ。

この過酷な環境が、わたしたちがこれまで金星をあまり研究できなかった理由の一端である。金星には、わたしたちが送り込む宇宙探査機を溶かして墜落させるという厄介な習性があるのだ。

しかし、金星の大気はそれほど恐ろしいものではないかもしれない。金星の荒涼たる地表から31km上空の雲は気温が30℃、気圧は地球と同様である可能性がある。地球の大気圏に微生物が住んでいることはすでにわかっており、かつて金星がもっと住みやすい場所だったころに地表で暮らしていた生命体が大気圏へと移動し、地表の条件が悪化するなか大気圏に留まった可能性はある。

5.金星で何が起きているのか確実に知る方法は?

ホスフィンの測定は、ハワイにあるジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡とチリにあるアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計というふたつの望遠鏡を使って実施され、今回の発見をしたチームはさらに詳細な測定によって観察結果を確認しているところだ。しかし、本当に必要なことは大気中からサンプルを採取し、何が起きているのか適切に調べることだろう。

2023年にはRocket Labという民間企業が金星へのミッションを計画している。NASAもふたつの金星探査を最終候補に挙げている。今回の発見によって新たな金星探査が次々に提案される可能性があることを思えば、NASAの探査機もいずれ地球の隣の荒涼たる惑星へと旅立つ日が来るかもしれない。

とはいえどんなミッションも、たいていの場合は計画と実行に長い時間がかかる。わたしたちが次の証拠を手にするのは、しばらく先になるだろう。

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