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新型コロナウイルスの影響で学校が休校した4月のある日、住宅や畑が周りに広がる茨城県鉾田(ほこた)市のコンビニエンスストアでは、子供の明るい話し声が響いていた。イートインスペースに教科書やノートを広げ、一日中、友達と勉強する近くの中学生の女の子らだ。
子供向けの本に将棋やオセロ、カードゲームが置かれ、人工観葉植物で彩られた居心地のいい店内。男性客が「勉強してんのか。えらいな」と声をかけると、女の子の1人は「昨日は5時間勉強したんだ」と自慢げな笑顔を見せた。
幼稚園教諭などを経て、18年前からコンビニを経営する真家(まいえ)知子さん(47)が店の一部をこのように開放したのは1月。真家さんやほかの店員も「おやつ食べる?」と声をかけ、一緒に遊ぶこともある。「子供と緩くつながっていれば、家庭がしんどい時に本音を出せる場所になるかもしれない」。真家さんが目指すのはそんな店だ。
教諭時代から、さまざまな境遇の子供を目にしてきた。幼稚園から児童相談所(児相)に保護された園児。コンビニを経営するようになってからは店で、父親から殴られるのが「当たり前だと思っていた」と明かした子もいた。万引を注意した子も、後で人づてに複雑な家庭環境で苦しんでいたことを知った。
「家庭に問題を抱え、孤立を感じる子供は実はすぐそばにいる。身近な存在のコンビニだからこそ、SOSを受け止めたい」
自分に何ができるのか。答えを探して昨年参加したのが、子供を守る環境づくりに取り組むNPO法人「PIECES(ピーシーズ)」(東京)の育成プログラムだった。