児童虐待~連鎖の軛 第2部①

3歳放置死 重なる過去 母も虐待被害、つながり断ち孤立

梯稀華ちゃんが1人残されていた自宅。部屋の中にはごみが散乱している様子が見え、引き戸のガラスにはひびが入っている=8月、東京都大田区(西山瑞穂撮影)
梯稀華ちゃんが1人残されていた自宅。部屋の中にはごみが散乱している様子が見え、引き戸のガラスにはひびが入っている=8月、東京都大田区(西山瑞穂撮影)
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山々に囲まれるように田畑が広がる宮崎県中部の高岡町。平成18年に宮崎市に編入された人口1万人あまりの小さな集落で約20年前の夕暮れ、5歳ほどの少女が県道脇に1人でたたずんでいた。

20年前の涙

「何しよっと」。近所の女性の問いかけに、少女は涙ぐみながら「家の玄関のドアが閉まっていて入れないの」と訴えた。見かねた女性が親族宅に連れ帰っておにぎりを与えると、腹をすかせていたのか、少女はうれしそうに頬張った。

それから20年。大人になった少女は、保護責任者遺棄致死の疑いで警視庁に逮捕された。梯(かけはし)沙希容疑者(25)。今年6月、知人男性に会いに鹿児島へ行くため、東京都大田区の自宅に3歳の長女、稀華(のあ)ちゃんを8日間も放置して死亡させたとされる。

1LDKの自宅マンションの6畳の部屋で、散乱するごみに囲まれるように亡くなっていた稀華ちゃん。部屋の間仕切りは外側からソファでふさがれ、ベランダの窓は施錠されていた。

死因は飢餓と脱水。母親に置き去りにされた稀華ちゃんは誰にも助けてもらえず衰弱していったとみられる。なぜ、これほどまでにむごたらしい事件が起きたのか。沙希容疑者の生い立ちをたどると、背景が浮かび上がってくる。

知人らによると、沙希容疑者は20年ほど前、高岡町の2階建て住宅で、実母と継父、弟と暮らしていた。「色白でかわいらしく、人懐っこい明るい子だった」(近隣住民)という。