苦境の旅行会社、コロナ禍で模索する「ニューノーマル」

 これまでに数十件の依頼があり、現地品の買い付けや視察代行などを実施したという。「始めたきっかけはコロナだが、終息後も需要があると考えている。ニューノーマルのサービスとして今後も提供したい」(担当者)。

 JTBも海外支店を活用し、海外出張ができない企業の現状に着目。海外企業を集めたオンライン商談会を開いたり、世界的IT企業が集積する米シリコンバレーのデジタル視察を実施したりと、新サービスの開発に躍起だ。

 国内外のツアー旅行の回復が見込めない中、自宅から1~2時間程度の近場を旅する「マイクロツーリズム」に着目し、近隣住民限定の割引ツアーを打ち出す企業も少なくない。

 コロナ禍で業界は大きなダメージを受けた。6月には老舗旅行会社のホワイト・ベアーファミリー(大阪)が民事再生法の適用を申請。JTBは社員約1万3千人に冬賞与を支給しない方針を決め、HISも夏賞与の支給を見送った。当面の厳しい状態が見込まれる中、各社の模索は続きそうだ。

 淑徳大学の千葉千枝子教授の話 インバウンド(訪日外国人客)が消えた今、日本人に旅行してもらう努力が必要だ。店頭で旅行の相談をするといった古い形態は、今後減る。従来のビジネスモデルを脱却し、ニューノーマルについていけるかが生き残りの鍵となる。観光立国を目指す政府も業界や自治体任せではなく、具体策を出すべきだ。

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