サイバー戦の精鋭隊員養成 防衛省、予算概算要求に経費計上 

 ■2年前倒し、質量とも底上げ急ぐ

 防衛省がサイバー防衛で自衛隊に教育専門部隊を新設するのはサイバー防衛部隊新編の一環だ。部隊新編は令和5年度末を予定していたが、2年前倒しして来年度末に行うことが分かった。質量ともに部隊の底上げを急ぎ、自衛隊の活動の基盤である情報通信ネットワークの守りを固める。

 サイバーは宇宙、電磁波と並ぶ防衛の新たな領域で、一昨年に策定した平成31(令和元)年度から令和5年度までの中期防衛力整備計画は「サイバー防衛部隊1個隊を新編」「専門教育課程の拡充」との方針を明記しており、来年度末に実現する。部隊新編は「サイバー防衛全体の構えとしてマンパワーの見劣りを早急に是正すべきだ」(政府高官)との指摘が多く、計画を前倒しした。

 現行の態勢は、中核部隊として今年度末に290人に増員するサイバー防衛隊を自衛隊指揮通信システム隊の傘下に置き、傘下にはほかに110人の隊員がいる。部隊新編ではこの計400人の指揮通信システム隊全体を「自衛隊サイバー防衛隊」(仮称)に衣替えしてサイバー攻撃対処を効率化させ、新設する教育専門部隊も組み込むことが柱となる。

 陸海空3自衛隊にはそれぞれの情報通信ネットワークの監視と防護を担うサイバー関連部隊もあり、隊員は計370人。現行400人の新たな自衛隊サイバー防衛隊とともに増強し、5年度末までにすべて合わせて千数百人に拡大する。

 中国のサイバー攻撃部隊は桁違いの3万人、北朝鮮のサイバー部隊が6800人、ロシアが千人と指摘され、規模ではロシアと肩を並べる。

(半沢尚久)

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