星空保護区の認定目指す
井原市からの依頼でパナソニックが開発した照明は今年1月、IDAが日本メーカーの製品では初めて光害対策への効果を認証。7月には一部の地区で試験的に従来の白色LEDの防犯灯と交換して効果を確認した。市は10~12月に計411台を交換したうえで、来年3月末までに星空保護区への認定をIDAに申請する。早ければ来年半ばには結果が判明するという。
取り組みを担当する市定住観光課の藤岡健二課長補佐は「照明を交換した地区の住民から苦情はなく、街中が落ち着いた雰囲気に変わった。天体観測に適したこれからの季節に、生活の中でも星空に親しめる環境をつくりたい」と意気込む。
天体観測や星空観察は、新型コロナの感染防止に有効な3密を避けながら楽しめる趣味の一つだ。
星空がきれいに見える「星取県」としてPRする鳥取県は6月から、自宅で天体観測を楽しんでもらおうと「うちで星を見よう」キャンペーンを実施。県のホームページで星座早見盤の型紙のダウンロードや、スマートフォンで星空をきれいに撮影する方法などを紹介している。
パナソニックの広報担当者は「きれいな星空を魅力としてPRする地域の自治体などに、光害対策の一環として照明の交換を提案していきたい」としている。
ウミガメの繁殖にも悪影響
IDAによると、過剰な人工照明による光害はエネルギーを浪費し天体観測を妨げるだけでなく、星の光を頼りにするウミガメの繁殖や渡り鳥の飛行を乱すなど、自然環境へのさまざまな悪影響が確認されているという。1988年に設立されたIDAは現在、世界に60以上の支部を設け、フィールド調査や啓発活動などを通して光害対策を進めている。
IDA東京支部代表の越智信彰・東洋大准教授(自然科学)は「美星町の取り組みをきっかけに多くの人が光害の影響を知り、無駄な光を減らしていく全国的な動きにつながってほしい」と期待している。