育鵬社版採択問題「首長は教育委員の人選でリーダーシップを」 中田宏・前横浜市長

「首長が責任を持って教育委員にふさわしい人選を」と訴える中田宏前横浜市長=8月28日、横浜市内(福田涼太郎撮影)
「首長が責任を持って教育委員にふさわしい人選を」と訴える中田宏前横浜市長=8月28日、横浜市内(福田涼太郎撮影)

 今夏に行われた中学校歴史・公民の教科書(来年度から4年間使用)採択で、いずれかで育鵬(いくほう)社版を使っている全国23市町村のうち、14市町村が他社版に切り替えたことが判明した。横浜市は平成21年の中学校の歴史教科書採択で、日本の歴史をことさら悪く描く自虐史観を排する目的の「新しい歴史教科書をつくる会」が主導した自由社版を、市内の一部ながら全国に先駆けて選んだ。その後も同会から分かれたメンバーらが執筆した育鵬社版を歴史・公民ともに全市一括で3回連続採択した。流れを主導する教育委員を任命した中田宏前市長(55)が産経新聞の取材に応じ、当時の市教委改革などについて語った。

(聞き手 福田涼太郎)

 中田氏は平成14~21年に横浜市長を務めた。在任中には4期14年にわたり教育委員を務めた元同市総務局長の今田忠彦氏をはじめ、評論家の小浜逸郎(いつお)氏らを教育委員に抜擢(ばってき)。任命した委員は自由社版や育鵬社版を推す中心メンバーとなった。

 就任当時の教科書採択をめぐる状況は

 「教科書採択を含めて教育委員制度が形骸化している状況に危機感を持っていた。民間人にとっては名誉職、教員や行政出身者にとっても『上がりポスト』であり、そういう人たちで教育委員が占められていた。いじめ問題への対応では右往左往するだけだし、教科書採択でも教員たちから上がってきた結論を追認するだけの状態だった」

 具体的にとった行動は

 「教育に対する見識と情熱がある人を教育委員に任命した。当時は地元の大学関係者や医師会などの枠があったが、その枠組みをなくした。医師会にも『外の人を選びたい』と直談判して了解してもらった」