作家、田丸雅智(たまる・まさとも)さんによるワークショップ「誰でも書けるショートショート講座」が9月、ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」で行われた。田丸さんは松山市出身で、同市の「坊っちゃん文学賞」の審査員長も務めており、同市が企画したもの。「現代日本のショートショートの旗手」といわれる田丸さんによる講座は、参加者には珠玉の時間だった。
文学賞の審査員長
田丸さんは東京大大学院工学系研究科修了。作家デビューは平成23年で、翌24年に樹立社ショートショートコンテストで「海酒」が最優秀賞となった。この作品は芥川賞作家のタレント、又吉直樹さんの主演で短編映画化され、カンヌ国際映画祭などで上映された。
こうした執筆活動に加え、田丸さんは各地でショートショートの書き方講座を開くなど幅広い活躍をしている。
一方、昭和63年創設の坊っちゃん文学賞は、映画化、テレビドラマ化された「がんばっていきまっしょい」(敷村良子さん作)などの秀作を世に送り出してきたが、令和元年から、文学の入り口になるとして、4000字以内のショートショートの文学賞に衣替えした。
そうした中、同市ではさらに多くの人に同賞に応募してもらおうと、同講座を9月4、5日の2回開催。本来は市内の会場で開く予定だったが、新型コロナウイルスの感染防止のため、Zoomを使ったオンライン講座となった。
ショートショートはこう作る
講座では、「小説の創作を通して発想力、論理的思考力の強化ができる。脳トレにもなります。難しく考えず、楽しんで創作してみましょう」と呼びかけた田丸さん。3つのステップでショートショートの創作方法を教えた。
まず最初は、思いついた名詞を自由に紙の右側に10個列記する。
次にその中から1つを選び、選んだ名詞から思いつくことをその左側に5個程度書く。左右に並んだ言葉を組み合わせると不思議な言葉が生まれ、日常から非日常へと一気に飛躍が生まれる。
次に、こうしてできた不思議な言葉について、それがどんなものなのかを考え、説明する。
そして、それはどこで、どんなときに、どんな良いことがあるかを考える。さらに、どこで、どんなときに、どんな悪いことがあるかも考える。最後にこれらをまとめると、ショートショートの作品が1つ完成する-という。