奈良・十津川村長が引退表明 5期20年「村の方向づけできた」 - 産経ニュース

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奈良・十津川村長が引退表明 5期20年「村の方向づけできた」

 19年半にわたり十津川村長を務める更谷慈禧(よしき)氏(73)が10日、5期目の任期満了となる来年4月で引退することを村議会の一般質問で表明した。議会終了後、取材に応じた更谷村長は「豊かな暮らしを守る村づくりの方向づけができた」と引退理由を語った。

 更谷氏は平成13年に村長就任。「心身再生の郷」をテーマに村づくりを進めた。

 23年9月、村内で死者・行方不明者が13人に上った紀伊半島豪雨では、30戸の仮設住宅を村産の木材で建設。ぬくもりのある居住環境へのこだわりは、自宅を残しながら、災害リスクの少ない村営住宅に村内移住する「2地域居住」と呼ばれる独自の生活スタイルを生んだ。高森地区でモデル的に進められ、村内全7区に広げることが決まっている。

 豪雨災害前から「命の道」と国などに整備を訴えてきた道路整備も、震災から9年で劇的に進んだ。

 「先人から受け継いだ助け合いの精神のもと、最後まで安全安心に暮らせる村づくりの方向づけができた。やり切ったという思いがある。後進に道を譲りたい」とすがすがしい表情で語った。

 「村を思う人が決めるべき」として後継指名はしないが、「熊野は心身を再生させるよみがえりの地。山に感謝する人々がつくった文化的景観やよき伝統を守り、今後も人間の原点を大事にする村であってほしい」と期待する。

 更谷氏は昭和44年大阪工業大卒。大阪の建材会社に勤務後、47年に帰村し家業の林業に従事。61年、五條青年会議所理事長。村森林組合長や村助役を経て、平成13年の村長選で初当選した。