「体が資本」の自衛隊員らを健康面で支える。駐屯地などで提供される食事の献立作成、隊員への栄養指導などが主な任務。一般的な栄養士と同じだが、特殊なのは災害などの有事対応だ。「いかなるときでも隊員が食べられる状況にすること」。確保できる食材をもとに、派遣先での献立を素早く考える。
熊本市出身。父親は陸上自衛官だった。食に関わる仕事を志して長崎県立女子短大家政科(当時)に進み、取得した栄養士の資格を生かそうと、採用を行っていた陸上自衛隊に応募し、昭和56年に入隊。管理栄養士の資格もその後取得し、熊本県の駐屯地などで40年近く勤めてきた。
自衛隊員の食事はスタミナも必要だが、カロリー過剰摂取には気を使う。健軍(けんぐん)駐屯地(熊本市)勤務だった約20年前、当時は珍しかった「低カロリーメニュー」をつくり、複数メニュー制にして「活動量、年齢、体格に応じて自己管理を」と隊員にアピール。「自分の健康は自分で守って」と、隊員らへの食育にも力を入れてきた。
夫は消防士で、子供3人を育てた。有事の際は夫婦で不在にするのが必然だったが、父母らの協力で乗り切った。現在は隊員と家族を対象にした自衛隊熊本病院で入院患者の献立作成などにあたる。
「国のため」を意識し、与えられた任務に「手は抜かなかった」と自負するが「栄養士みんなが頑張っている、と評価していただいた。定年前の私が代表して」。謙遜気味に笑った。(山口淳也)=随時掲載