町づくりや生活再建課題 東日本大震災9年半 

 東日本大震災による津波で浸水した岩手県陸前高田市=平成23年3月12日(陸前高田市提供)
 東日本大震災による津波で浸水した岩手県陸前高田市=平成23年3月12日(陸前高田市提供)

東日本大震災は11日で発生から9年半を迎える。「復興・創生期間」にあたる震災10年まで残すところあと半年となったが、政府は来年度以降も復興庁を継続させて被災地の支援を続ける方針。道路や防潮堤などのインフラ整備は進んだが、現在も約4万3千人が避難生活を続ける。長期の避難生活による心身の疲労や、地元から離れる避難者も多く、町づくりや生活再建が引き続き大きな課題となっている。

災害公営住宅の完成や自宅再建が進み、宮城県ではプレハブ仮設住宅のすべての入居者が今年4月に退去した。平成24年には最大で5万人以上が入居していた。ピーク時にプレハブ仮設住宅1万3984戸が建設された岩手県では、今年7月末時点で52戸120人が暮らしている。宅地整備や工事の遅れなどが原因とみられる。

現在も約3万7千人が避難生活を送る福島県。東京電力福島第1原発事故の被害により、最大で12市町村に出ていた避難指示は、放射線量が高い「帰還困難区域」がある7市町村のみとなった。そのうち国が居住再開を目指して除染を進める「特定復興再生拠点区域」は一部にとどまり、多くの地域で解除の見通しが立っていない状況だ。

政府は震災以降の平成23~令和2年度の10年間で31兆3千億円をかけてインフラなどを復旧。来年度以降も復興庁を継続させ、令和3~7年度の5年間を「第2期復興・創生期間」と位置付け、原発事故により遅れている福島県の復興再生に重点を置く。

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