沖縄本島南部の住宅地。建設現場で見つかった米国製50キロ爆弾は、危険で動かせない状態だった。起爆装置の信管を外せば安全だが、ゆがんでいて回すことができない。
「切断しよう」
信管に近い弾頭部分を、のこぎりで慎重に切っていく。周囲には民家が立ち並び、ひとつのミスも許されない。
およそ3時間かけて信管を切り離した。
「これで住民も安心して生活できると思うと、自分の任務にやりがいと誇りを感じます」。日々の活動を振り返り、笑顔をみせる。
先の大戦末期に激しい地上戦が繰り広げられた沖縄には、いまも無数の不発弾が地中に埋まり、県民の生活を脅かしている。昨年度に全国で発見、処理された不発弾約33トンのうち、半分以上の約18トンが沖縄だ。
そんな沖縄で生まれ育ち、自衛隊に入隊したのも、小学生の頃、サイレンを鳴らして走る不発弾処理の車両をみたのがきっかけだった。作業後に住民らが「よかったさー」などと話すのを聞き、大切な仕事だと知った。
入隊7年目で念願の第101不発弾処理隊に所属し、これまで1300回以上も現場に出動。50キロ爆弾や5インチ艦砲弾など大小さまざまな不発弾を処理してきたスペシャリストだ。
現場ではよく、住民から「ありがとねー」「これで安心さー」などと声をかけられるという。「それが自分の、原動力になっています」と、力強く語った。(川瀬弘至、写真も)=随時掲載
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災害派遣や国際貢献などで著しい功績のあった自衛官を顕彰する「第18回国民の自衛官」に選ばれた9人1機関の横顔を紹介する。