「もう行かない」チケット不正転売した「嵐」ファンの後悔

 憧れのアイドルに少しでも近い席で-。ファンなら当然の心理が増長し、気づけば一線を越えていた。年内で活動を休止する国民的人気グループ「嵐」の公演をめぐり、チケットを転売したとする女(24)が摘発・起訴された事件の手口は、入場に必要な身分証を偽造するなど大胆で悪質だった。中学時代から嵐を追い続けてきた女はなぜ、違法行為に手を染めたのか。8月、大阪地裁で開かれた公判で経緯と詳細が明かされた。(桑村朋)

「感覚がまひ」

 「(ライブや公演に)今は参加する気にもなれないし、しないと思う」

 8月27日、大阪地裁の法廷。黒いスーツ姿の女はうつむきがちに、被告人質問に臨んだ。次に消え入りそうな声で、事件を振り返った。「良い席を取らないとという気持ちだった。感覚がまひしていた」

 チケットの不正転売が社会問題化したことを機に、昨年6月に施行された入場券不正転売禁止法違反などの罪で起訴された女。事件は同法が初めて適用されたケースとしても注目を集めた。

 起訴状などによると、女は昨年6~9月、京セラドーム大阪や東京ドームであった嵐のコンサートやイベントのチケットを不正転売していた。

身分証偽造も

 公判での説明によると、女はツイッターを使って転売されているチケットを検索。定価を超える値段で複数枚を入手していた。

 チケットはスマートフォンなどにQRコードが表示される「電子チケット」だった。ファンクラブ会員だけが申し込むことが可能で、当然、転売は禁止されている。

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