普通交付税不交付団体のフトコロ事情 新潟・聖籠町と刈羽村

 新潟県では人口流出が大きな課題になっているが、聖籠町の人口は「増加傾向がひと段落し、最近は横ばい」(高橋氏)という。

 同町は今年度中に2030年度に向けた総合計画を策定予定で、子供、福祉、町の未来に重点投資する方向だ。

村役場がTV局運営

 一方、刈羽村は新潟県のほぼ中央に位置する穀倉地帯で、人口約4500人。同村と柏崎市にまたがる海岸地域には、東京電力柏崎刈羽原発(1~7号機)があり、村内に5~7号機が立地している。これが村の財政を支えている。

 今年度の一般会計予算の歳入は約68億円で、「うち約6割が原発関連」(武本暢行総務課長)という。

 固定資産税は約20億円が計上され、その多くが原発関連だ。国から原発の立地自治体に交付される「電源立地地域対策等交付金」が約11億円、核燃料税が約2億円などとなっている。

 使い切れない電源立地交付金は基金に積み立て、必要に応じて公共施設の維持・補修などに充てている。「メンテナンスにお金をかけやすく、それだけ施設が長持ちする」(武本氏)

 住民への施策もバラエティーに富む。全世帯(約1600世帯)に無料で光回線を設置。住民への情報提供を目的に自前のケーブルテレビ局を持ち、職員が番組を制作している。また、村内を巡回するバスを運賃無料で運行している。

 役場の近くには、文化ホール、アリーナ、図書館などからなる生涯教育施設があり、円盤のような外観がひときわ目立つ。本格的な人工芝サッカー場や宿泊・温浴施設などを備えた地域共生施設も整備。「いずれも電源立地交付金などを活用している」(武本氏)

 目下の課題は農業のてこ入れ。特産品のブランド桃「砂丘桃」の生産者育成や耕作放棄地の保全などに力を入れていくという。

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