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パリの窓

風刺画事件が問う多様性 5年後の「私はシャルリー」

フランスの風刺週刊紙シャルリー・エブドのかつての社屋で、壁に描かれた犠牲者11人の似顔絵(三井美奈撮影)
フランスの風刺週刊紙シャルリー・エブドのかつての社屋で、壁に描かれた犠牲者11人の似顔絵(三井美奈撮影)

 フランスで、風刺週刊紙シャルリー・エブドが銃撃されたイスラム過激派テロの公判が始まった。5年ぶりに現場を訪れると、ビルの壁に「表現の自由広場」と書かれ、預言者ムハンマドを描いた同紙の風刺画が貼ってあった。

 マクロン大統領は公判を前に「フランスは神を冒涜(ぼうとく)する自由がある国だ」と述べた。現在の共和国は政教分離が国是だから宗教を批判してもよい、という。

 18世紀のフランス革命は、キリスト教権威が支えた絶対王政を倒した。政治腐敗を描いた風刺画が市民意識を培った歴史もある。テロ事件後、同紙に連帯する「私はシャルリー」の標語は全国に広がり、パリでは160万人が「表現の自由を守れ」とデモ行進した。

 だが、国を包む空気は変わった。世論調査で国民の59%が「ムハンマドの風刺画掲載は正当だ」と答えたのに対し、25歳未満では35%にとどまった。多様性を重んじる時代、若者ほど「他人を傷つけてまで、行使すべき自由とは何か」を考えるのかもしれない。

 シャルリー事件後のパリ同時テロでは130人が死亡。いずれも実行犯は移民2世たちだ。生まれた国を憎み、過激主義に走る若者をどうするか。答えは見えない。フランスのイスラム教徒は推計で人口の約8%。30年後に17%を超えるとの予測がある。(三井美奈)