--今回の総裁選は党員投票を省略する両院議員総会となったが、対応は
「具体的なスケジュールはまだ承知していないが、なかなか全国遊説も難しいのかもしれない。国民に密な状況をもたらして迷惑を掛けることになりかねないので、どうやって党本部でリモートで政策を議論する場を作っていただくかということだ。通り一遍のものではなくて、例えば外交なら外交、エネルギーならエネルギー、税制なら税制、テーマを分けて徹底的に討論する場を党で作っていただきたいと思っている。
メディアにお願いしたい。国民は投票できない。党員も投票できない。しかし自民党総裁は次期内閣総理大臣なので、その人が何を言うかを聞くのは、主権者たる国民の権利だ。明確に憲法上位置づけられているわけではないが、そこで誰が何を言うのかを聞くのは、主権者の権利にも近いものだと思う。そういう場をできるだけ提供いただきたいと心からお願いする。
政策発信は、主にウェブ中心として最大限やっていきたい。声がかかれば、いかなるメディアの出演も、テレビであれラジオであれ、その他の媒体であれ、一切断るものではない。(石破派の)みんなで力を合わせていきながら、最大限の情報発信をしたい。国会議員へのお願いは従来通りのことだ。礼儀を欠くことはしてはならないと思っている」
--安倍政権を継承する点と違いは。地方への人口分散、女性活躍は具体的にどうするのか
「成果として引き継ぐものは引き継ぐ。株は高い方がよい。企業の利益も多い方がよい。しかしながら、個人所得はどうかと考えたときに、継続すべきアベノミクスといわれるものは、継続していきながら、変えるべきものは変える。当然のことではないかと考えている。
外交・安全保障政策は、かなり違うのかもしれない。私はやはり、アジアとともに生きる日本ということを論ずるときに、アジアの歴史、なかんずく日本との関わり、宗教、文化、そういうものをきちんと理解しないで一緒にやろうというのは難しいと思っている。
私はコロナ禍の間にずいぶんといろんな歴史を勉強したが、まだまだ十分だとは思っていない。アジアとともに生きる日本、米国と中国が共にやっていこうという世界が作られるために、日本はイニシアチブを発揮すべきだと考えている次第だ。
移住をどう実現するか。東京に住む40代、50代の男性にアンケートをとれば、8割が第2の人生は地方で過ごしたいという。内閣府のアンケートだ。なぜそれが実現しないのか。仕事がないのかといえば、今、地方に仕事はある。どのような仕事があるかという発信をさらにしていきたいと思っている。
他は教育だ。コロナは全国どこでも同じ教育が受けられることを示す契機になったと思っている。先般、長野県喬木(たかぎ)村というところに行った。最大限、ITを活用した教育をしている。1クラス30人の第1小学校と1クラス6人の第2小学校が同じ授業をする。すると友達ができる。すると1つの中学校に行ってもすぐに仲良しになれる。高いレベルの授業が行われる。そういうICT(情報通信技術)を使った質の高い教育が全国どこでもできるということ、それがコロナの与えてくれた1つのきっかけだ。これを早急に普及する。
ICTを活用することによって、全国どこでも、つまり東京に行かなきゃ良い医者にかかれないという状況ではなくて、全国どこでも同じレベルの医療が受けられる。あるいは地方創生の事業を使って、訪問看護ステーションを作ったら、東京から看護師の方々が高い志を持ってきてくれた。医者は少ないが、看護師が訪問介護をすることによって高齢者の不安がものすごく減ったということがある。高齢者に『あなたがいてくれてよかったね、あなたが必要なんだね』と言ってもらえる社会は地方にこそあると思っている」