大相撲徳俵

ロシア出身の元幕内、阿夢露がトレーナーに転身 「いつかは自分の店」第二の人生も日本で

手術も経験した後。26年に新入幕を果たし、最高で前頭5枚目まで番付を上げた。幕下だった30年5月に現役を引退。以前から関心のあったトレーナーの道に進むことを決めた。

インターネットでトレーニングジムを探し、自宅から近いフレックス津田沼に面接を申し込んだ。同ジム代表の山口正史さんはたまたま阿武松部屋の見学に行ったことがあり、両膝に分厚いテーピングを巻いて稽古に励む阿夢露の姿を目にしていた。山口さんは「誠実な人柄で、一生懸命、相撲に打ち込んできた。人としての土台ができている」と採用を決めたという。

ニコライさんは真面目で仕事熱心だが、決して陽気なタイプではない。当初は完璧ではない日本語でコミュニケーションを取るのは簡単ではなかった。大相撲は感覚や雰囲気、独特の「相撲用語」で指導することも多く、論理的に人に伝えるのも慣れないことだった。「いきなり話しかけるのは緊張感があった。ちょっとずつ慣れ、お客さんとも楽しい話をできるようになった」とニコライさん。

新型コロナウイルスの影響で、フレックス津田沼も約1カ月間の休業を余儀なくされた。再開後も来店するのに抵抗を感じる人は少なくなかった。そこで始めたのが、「ニコライのオンライン相撲道場」。自宅にいる参加者をリモートで指導するというものだ。

1時間の講習で7月に2回、8月に3回開催。有料だが、ジム会員でなくても参加できる。ニコライさんは現役時代に使っていたまわしを締めて、股割りや四股などを実践。また、「力士はこの四股を300回やっています」など大相撲の豆情報も間に挟み、飽きさせない工夫もしている。

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