首相辞意に「続投してほしかった」「今辞める時機か」

辞任を表明する安倍晋三首相の記者会見を報じる街頭ビジョン=28日午後、大阪市中央区(沢野貴信撮影)
辞任を表明する安倍晋三首相の記者会見を報じる街頭ビジョン=28日午後、大阪市中央区(沢野貴信撮影)

 安倍晋三首相の突然の辞任表明に、国内各地ではさまざまな声が聞かれた。

 大阪の繁華街・ミナミ。街頭ビジョンに安倍首相の会見の様子が映し出されると多くの人が足を止めて見入っていた。

 「長期で安定的な政権を築いたからこそ、拉致問題や憲法改正などの課題を解決できると期待していた。もう少し続投してほしかった」と惜しんだのは、大阪市中央区の自営業の男性(48)。一方、大阪市住吉区の主婦(34)は「病気は仕方ない」としつつも、「新型コロナウイルスで社会全体が大変な中、リーダーが今辞めるべきタイミングなのか疑問」と率直な思いをこぼした。

 持病の潰瘍性大腸炎の悪化を辞任の理由に挙げた安倍首相。地元・山口県の支援者で、会社経営の藤田雅史さん(59)は「連続在職日数が歴代最長になったばかりなのに残念。経済再生と感染拡大防止のバランスが求められる新型コロナ対策の苦慮がストレスになったのだろう」と思いやった。首相が帰省の際に立ち寄っていた山口宇部空港近くの飲食店「カレーハウスニューオックス」の店主、川口韶子さん(77)も「とても残念。病状の悪化を心配していた」と話した。

 一方、京都市北区の無職、清水将さん(64)は「リーダーシップを発揮できない以上、国難を乗り切れないので交代すべきだ」ときっぱり。その上で「辞める前に財務省職員の自殺問題など、在任中の疑惑について晴らしてほしい」と要望した。

 次のリーダーへの注文も。兵庫県明石市の会社員、土出(どで)洋一さん(37)は安倍首相について、「新型コロナというイレギュラーな事態の中で、大きな決断をしてきたという点は評価できる」とし、「次の首相は安倍さんの意思を継承する人が望ましい」と期待を寄せた。

 東日本大震災の被災地では、首相が代わっても復興政策を継続させてほしいとの声が聞かれた。宮城県岩沼市の元市長、井口経明さん(74)は「長期政権の中で(復興政策に)力を入れて取り組んだ。復興は完全ではないので、滞りなく進めてほしい」。東京電力福島第1原発事故で甚大な被害を受けた福島県浪江町で花卉(かき)栽培などを手掛けるNPO法人代表、川村博さん(65)=福島県南相馬市=は「人口が減少した被災地には農業復活が特に重要だと、力を入れてくれた」と語った。

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