【ワシントン=平田雄介】米民主党の副大統領候補、ハリス上院議員は27日、世界最悪の18万人超の死者が出ている新型コロナウイルスをめぐり、「トランプ大統領が中国の初期対応を称賛し、感染防止策より市場の動向に執着したことが、今の大惨事につながった」と厳しく批判した。
ハリス氏は、トランプ氏が共和党大会で大統領候補の指名受諾演説を行う数時間前に演説した。新型コロナの被害は「黒人やヒスパニック(中南米系)、先住民族に多い」とし、「この現実は共和党大会で語られなかった」と指摘。「共和党大会の目的はトランプ氏のエゴを満たすことになっている。国民の健康と安全、幸福が目的であるべきだ」と訴えた。
ハリス氏は、米国で初の感染者が出た1月に「トランプ氏は『ウイルスは消えるから心配しなくてよい』と語り、初期対応から間違いを重ねた」と非難。「トランプ氏は新型コロナ対応に取り組めば市場と自らの再選への打撃になると確信していた。国民を守るより自分のことが大事だった」と持論を展開した。
一方で、民主党の大統領候補、バイデン前副大統領については「1月に新型コロナへの警戒を訴え、3月に国家戦略を策定した」と指導力をアピール。政権を担えば「マスク着用を義務化する」と述べた。
米中西部ウィスコンシン州ケノーシャで23日に黒人男性が警官に銃撃された事件にも言及。「被害者は昼間に3人の息子の前で背中を7回撃たれた」と警察改革の必要性を強調した。