大森由紀子のスイーツの世界

新しいお菓子の3つの条件

 街にはいろいろなスイーツがあふれています。パティシエオリジナルとうたわれるものも多くありますが、どれもが実は昔から作られているお菓子のリニューアルにすぎないということをご存じでしょうか。

 シュークリームのシュー生地は、16世紀にイタリアからフランスにこし入れしたカトリーヌ・ド・メディシスのお抱えパティシエが考案したものが元といわれています。パイ生地は17世紀に活躍した風景画家、クロード・ロランが画家になる前にパティシエとして働いていたとき、生地にバターを入れ忘れて後から加えたのが始まりだという説があります。エクレアやザッハトルテも作られた当初は、きっと斬新な話題のお菓子だったに違いありません。

 チーズケーキやプリン、ロールケーキなど時々に流行するお菓子がありますが、それらは伝統的なお菓子の焼き直しという域を出ていません。いま、お菓子にも変化が求められています。新しい発想のお菓子がどんどん出てきて、それが100年も200年も作り続けられるようになったら素晴らしいことです。

 それには、(1)多くの職人がまねできる(2)多くの人々に受け入れられる味である(3)見た目もおいしそうである-という3つの条件をクリアする必要があります。 新しい時代のお菓子を生み出す人材の登場を切に期待しています。

 高校生パティシエ日本一を決める今秋の「スイーツ甲子園」(産経新聞社主催)でアドバイザーを務める大森由紀子さんが、おいしいスイーツの話をつづります。

 おおもり・ゆきこ フランス菓子・料理研究家。学習院大卒。パリの料理菓子専門学校「ル・コルドン・ブルー」で学ぶ。