鹿島・内田がラストマッチで奮闘 予想外の早期出場

引退セレモニーでジーコ・テクニカルディレクター(左)から花束を受け取り、写真に納まるサッカーJ1鹿島の内田篤人=23日、茨城県鹿嶋市のカシマスタジアム
引退セレモニーでジーコ・テクニカルディレクター(左)から花束を受け取り、写真に納まるサッカーJ1鹿島の内田篤人=23日、茨城県鹿嶋市のカシマスタジアム

 サッカーの明治安田生命J1リーグで23日、引退する元日本代表DF内田が現役最後の試合となった鹿島は終了間際のゴールでG大阪と1-1で引き分けた。

 最後の出番は予想外の早さでやってきた。0-1の前半16分、鹿島の内田が負傷した広瀬に代わってピッチに立った。最多5千人の制限付きながら、チケット完売の客席からは大きな拍手が起きた。三竿からキャプテンマークを受け取ると左腕に巻いて、定位置の右サイドバックに入った。

 ラストマッチでも勝利への執念はすさまじかった。G大阪にリードされる展開で攻守に奮闘。何度も前線に顔を出しては精度が高いクロスを送り、体を張って相手からプレーの自由を奪った。右足のサポーターを忘れさせる運動量だった。

 1学年下の盟友、遠藤は特別な試合に臨む意気込みを「ウッチー(内田)の引退はどうでもいい。勝ち点3がほしい」と冗談めかした。内田も思いは同じ。前半39分には敵のカウンターを防ぐためのファウルで警告を受けるなど、最後まで全力でプレーした。

 背番号2の思いに応えるように、チームは後半ロスタイムで追いついた。思うようにならない体で懸命にボールを追う背中から、若い選手たちが遺伝子を受け継いだ結果のようにも見えた。32歳の功労者は、ピッチを離れても愛するクラブの栄光を願い続ける。(奥山次郎)

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