話の肖像画

楊海英(13)運命変えた「大分登山隊」同行

《ラサでの滞在中、チベット人から忘れられない言葉を投げかけられた》

親しくなったチベット人がこう言ったのです。「モンゴル人はチベットでひどいことをしたよね」。こんなに嫌われているとは衝撃でしたね。世界が朝鮮戦争に注目していた50年、中国人民解放軍は「ヨーロッパの中世よりも暗黒な、政教一致の封建制からの解放」と称してチベットに侵攻しました。しばらく平穏な統治が続いた後の59年、チベット人が武装蜂起すると人民解放軍は容赦ない弾圧を行った。この弾圧にモンゴル騎兵部隊が関わっていたことは、幼いころに大人たちから聞いていました。彼の言葉から改めてモンゴル騎兵部隊について思い起こしました。

後年、日本で研究者としてモンゴル騎兵部隊を調査したところ、日本陸軍が軍事教育を行っていた興安軍官学校で学んだモンゴル人将校たちに結びつきました。これが「モンゴル騎兵の現代史 チベットに舞う日本刀」を執筆するきっかけとなったのです。大分登山隊は私と日本との不思議な縁を結んでくれました。(聞き手 大野正利)

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