「火星の渓谷」は氷河に削られて生まれた? 生命の存在可能性にも影響する新たな学説(2/2ページ) - 産経ニュース

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「火星の渓谷」は氷河に削られて生まれた? 生命の存在可能性にも影響する新たな学説

ガロフレーらによる最新の研究は、火星に現存する峡谷の多くが川の水ではなく、氷河によって形成された可能性を示している。これによって、太古の火星が「氷だらけの冷たい星」であったという説が真実味を増してきた。

最終的な判断は先送り?

ガロフレーが率いる研究チームは、火星の峡谷の形状を分析し、その形成過程の究明を試みた。彼女たちが使用したデータは、1996年に米航空宇宙局(NASA)によって打ち上げられ、その後10年間にわたり火星の探査を続けた無人宇宙船「マーズ・グローバル・サーベイヤー」から提供されたものだ。

グローバル・サーベイヤーは、火星軌道レーザー高度計(Mars Orbiter Laser Altimeter:MOLA)と呼ばれる装置を搭載していた。これは火星に向けて赤外線レーザーを照射し、地表の各所の標高を測定するための装置だ。

研究チームは10%2C300カ所におよぶ渓谷を対象に、それぞれに固有の物理的特徴を観察しながら分析を進め、それらが氷河によってできたものか、あるいは氷の下を流れる水によってできたものかを解明していった。川の流れによると見られる渓谷も多かったが、氷河に削られてできたと思われる谷も大量に見つかった。

誕生初期の火星が「温暖で湿潤な星」だったのか、それとも「氷に覆われた冷たい星」だったのかという論争の結着に、この発見がひと役買うことは間違いないだろう。だが、最終的な判断が下されることはなさそうだ。

パデュー大学のチームが19年8月に発表した研究によると、火星の気候は当初温暖だったものが徐々に寒冷化した可能性があるという。具体的にどんな理由で、こうした変化が起きたのかはわかっていない。だが科学者たちからは、数十億年前に火星から磁場が失われたことと何らかの関係があるのではないかとの声が上がっている。