ベラルーシ混乱 露、政権側・デモ側両にらみ ルカシェンコ氏退陣も視野か

ベラルーシ混乱 露、政権側・デモ側両にらみ ルカシェンコ氏退陣も視野か
ベラルーシ混乱 露、政権側・デモ側両にらみ ルカシェンコ氏退陣も視野か
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 【モスクワ=小野田雄一】9日の大統領選をめぐる反体制派の抗議デモが続くベラルーシ情勢で、隣国ロシアのプーチン政権は、再選が発表されたルカシェンコ大統領への支援を表明する一方、デモ側への批判を抑制するなど慎重な構えを見せている。ロシアはルカシェンコ氏が早期退陣に追い込まれる可能性も見据え、どちらか一方に肩入れするのを避けているとみられている。

 ラブロフ露外相は19日、露国営テレビのインタビューで、「ベラルーシ大統領選は理想的なものではなかった」と述べ、デモ側への理解を表明し、ルカシェンコ政権とデモ側双方に自制と直接対話を求めた。

 ロシアは、北大西洋条約機構(NATO)など欧米側との緩衝地帯として重要視するベラルーシが、親欧米派住民のデモで親露派政権が倒れたウクライナと同じシナリオをたどることを警戒。ウクライナ政変の背後には欧米側の関与があったとみているロシアは、ベラルーシでも反体制派と欧米側が結びついて政権転覆を図る事態を恐れている。

 実際、プーチン露大統領は18日、デモ側への支持を表明しているフランスとドイツに対し、「ベラルーシへのいかなる内政干渉も容認できない」と伝えた。

 ただ、今のところベラルーシのデモはウクライナの政変とは事情が異なっている。ウクライナでは「ロシア離れ・欧米接近」という国が進む方向の選択が争点となったが、ベラルーシのデモは再選挙やルカシェンコ氏の退陣を求め、対露関係は問題となっていない。このためロシアは、反体制派と欧米諸国の接近を牽制しつつも、ルカシェンコ氏が退陣に追い込まれた場合の両国関係も念頭に、反体制派との敵対を避けようとしているようだ。

 ベラルーシのデモでは、経済低迷やルカシェンコ氏の長期独裁に対する国民の不満が、大統領選の不正開票疑惑を契機に爆発した。デモには明確な指導者が不在で、今後、拡大するか沈静化するかは予測困難だ。ロシアはデモの推移やルカシェンコ政権の行方を見極めつつ、対応を検討していくとみられる。

 19日付の露経済紙ベドモスチは「ロシアとベラルーシが『ルカシェンコ氏の早期退陣の代わりに後継者は反体制派勢力から出さない』など、双方に有益な選択肢を協議している可能性がある」との見方を伝えた。

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