酒蔵探訪

「地元の水と米にこだわる酒造り」 茨城県潮来市・愛友酒造 

「純米吟醸『友寿』」の瓶を持つ愛友酒造の8代目社長、兼平理香子さん=潮来市(永井大輔撮影)
「純米吟醸『友寿』」の瓶を持つ愛友酒造の8代目社長、兼平理香子さん=潮来市(永井大輔撮影)

 あやめ咲く茨城県の水郷潮来。水運で栄えた水の都に根を下ろす「愛友(あいゆう)酒造」は、地元の水と米にこだわったまさに「地の酒」で、地域とともに歩んできた。中でも29年前の発売以来、同じ農家で作る潮来市産米を使ってきた「純米吟醸『友寿(ともじゅ)』」は、昔と変わらぬ姿で今も愛されている。鹿行地域唯一の酒蔵は地域と手を取りながら200余年の伝統を守り続ける。

 文化元(1804)年創業の愛友酒造は「四海皆兄弟」を社是に、酒を愛する友(人々)に愛される地酒を醸してきた。鹿島神宮のお神酒も作っており、8代目社長の兼平理香子さんは「地元あっての蔵元。地域の助けで酒造りを続けられる」と話す。

 ひときわ思い入れが深い酒は、3代目社長の名前を冠した「純米吟醸『友寿』」だ。愛友酒造のイメージカラーの赤を基調にしたラベルをまとい、手作業でビンに結びつけられた稲穂が揺れる姿は、発売当時の29年前から変わらない。

 同じ農家の米を使い続け、現在は潮来市産五百万石を100%使用。水は、地元「大生(おおう)神社」の清澄な湧き水と同じ水脈の井戸水で、酒づくりに最適なミネラル分を含んだものを用いている。「地元のものを使って、少しでも地域に還元したい」。愛友酒造のそんな思いがこもった逸品だ。

 友寿は精米歩合50%となっており、実質的な規格は純米大吟醸にも相当する。さわやかな香りにスッキリとした味わいが人気で、特に地元では、昔からの味として広く愛されているという。

 一方、ライフスタイルが多様化する現代で、酒蔵には時代に合わせた新しい変化も求められる。「昔と違い、誰もが日本酒を飲む時代ではなくなった」と兼平さん。加えて、新型コロナウイルスの影響により、愛友酒造では、国内売り上げや団体旅行客の酒蔵見学、20年近く取り組んできた米国への輸出も減少した。

 少しでも多くの人に日本酒の魅力を知ってもらい、需要を高めようと兼平さんは、SNSやホームページを新しく整備し、現代に合わせた情報発信の強化を試みている。また、コロナ禍の宅飲み需要に対応すべく、ホームページでの購入方法にクレジットカード決済を導入するなど、地酒の買いやすさの整備も進めている。

 「『昔』を大事にするだけではなく、現代でも飲んでもらえる新しい方法を工夫しなければならない」。女性社長の強い意志が酒造りを支え続けているようだ。(水戸支局 永井大輔)

 ■愛友酒造 潮来市辻205。JR鹿島線潮来駅から徒歩約20分、東関東自動車道潮来ICから車で約5分。看板商品の「友寿」をはじめとした日本酒の直売や利き酒ができるほか、個人なら予約不要で無料の酒蔵見学も行える。問い合わせは(0299・62・2234)。