■敵基地攻撃能力をめぐる主な社説
【産経】
・空の脅威への備え実現を (3日付)
【朝日】
・地域の安定に資するか (7日付)
【毎日】
・専守防衛の逸脱許されぬ (10日付)
【読売】
・攻撃力の進化に備えを強めよ (10日付)
【日経】
・ミサイル防衛論議は多角的に (1日付)
【東京】
・真の抑止力にならない (5日付)
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日本に向けられたミサイルの脅威の高まりを受け、「敵基地攻撃能力」の保有に向けた検討を政府が本格化させる。相手の発射拠点などへの攻撃について、朝日、毎日、東京が専守防衛の原則から逸脱するなどとして、強く反対するのに対し、産経は国を守るための有効な手段として、政府に保有の決断を迫った。
今月初め、自民党が政府に提出した「抑止力向上に関する提言」は、「相手領域内でも弾道ミサイルなどを阻止する能力」として事実上、敵基地攻撃能力の保有を求めた。政府は国家安全保障会議(NSC)で議論を進め、9月中に方向性を示す。
産経は「国民の生命と日本の平和を守る防衛力について、最大与党が真剣かつ冷静に検討した結果である」と提言を評価した。読売も「日本に被害が及びそうな場合、ミサイル拠点を攻撃する選択肢を持つことは妥当だ。武力攻撃に着手した国に対する自衛の措置は、国際的にも認められている」と、敵基地攻撃能力の保有を支持した。
背景にあるのが、周辺国のミサイルの脅威の増大である。「北朝鮮や中国は、日米のミサイル防衛網を突破しようと自国のミサイルの能力向上や増強に余念がない。ミサイルには核弾頭が搭載される恐れもある」(産経)。「北朝鮮は、変則的な軌道の弾道ミサイルを繰り返し発射した。中国は、音速の5倍以上で飛行する高性能兵器を開発している。現在の防衛体制で、こうした最新兵器に対処するのは難しい」(読売)。