新型コロナウイルスの影響で経済が停滞し、フリーランスの仕事は激減している。楠橋さんが提示するワーケーションの形は、そのような若い人材にとって魅力的かもしれない。
報酬は都会より抑えられることになりそうだが、その代わり旅費と宿泊費は企業側が持つ。「2、3年前なら乗ってこなかったと思います」と楠橋さん。
だが今年7月上旬、さっそく1例目が実現した。東京でCM撮影をしている25歳の男性を、今治市の発光ダイオード(LED)照明器具の製造販売会社に紹介。男性は滞在中、商品の展示会で使う動画を撮影した。2例目は東京のライター。4日間滞在し、西条市の人材会社の仕事としてIT企業を取材した。
「コロナ禍によって地方への憧れが強まり、テレワークや副業を解禁する企業も増えた」。ワーケーションに追い風を感じている楠橋さん。人材の面では「若い人の価値観は『モノ消費』から『コト消費』へと変わってきている」と指摘し、受け入れる企業側では「大事なのは『外の目線』。地元としがらみのない都会の人だからこそできる仕事がある」と訴える。ワーケーションは双方にとってメリットのある「ウィンウィン」の関係をつくることができそうだ。