公道を自走する自動配送ロボットを使った配送サービスについて、政府が今冬にも複数の事業者が参加する高度な方式の実証実験を行うことが18日、分かった。実証結果を踏まえ、来春を目途に法整備など制度設計の基本方針を決定する。新型コロナウイルス禍で、人を介さずに荷物を受け取ることができるサービスの需要が高まっており、政府は来年度にも事業者がサービスを実施できるようにしたい考えだ。
自動配送ロボを使ったサービスは、人手不足解消を視野に検討されてきた。宅配事業の一部の代替にとどまらず、ロボを使った新サービスが生まれれば、経済の活性化も期待できる。
実証には、離れた場所からパソコンなどでロボの挙動をチェックする遠隔監視型と、安全確保のために人が付き添う近接監視型がある。近接については、警察庁がすでに道路使用許可を取るための手順を明確化した。政府は遠隔に関しても、事業者が許可を取れる環境を整える方針だ。
今冬の実証は、初めての遠隔監視型となる予定。参加企業は未定だが、サービス実現を検討する政府の官民協議会には日本郵便、ヤマト運輸、楽天、ソフトバンク、パナソニック、ホンダ、自動運転ベンチャーのZMP(東京)などが名を連ねる。
安倍晋三首相は5月の未来投資会議で、「低速・小型の自動配送ロボットについて、遠隔監視・操作の公道走行実証を年内に実行する」と強調していた。
新型コロナへの対応を加速させる意味もあり、政府は「来年度にも事業者がサービスを実施できるようにしたい」(経済産業省幹部)と環境整備を急ぐ。
基本方針では、道路運送車両法など法改正の必要性も明確にする。法改正には時間がかかるが、政府はまず、事業者が個別に許可を取って期間限定のサービスを実施できるようにして、徐々に本格的な商用サービスに移行させていく構えだ。