PCやスマートフォンの閲覧履歴を残したくないときなどに使う「プライバシーモード」や「シークレットモード」。こうした機能は実際にどんなデータを隠し、どんなデータを残すのだろうか? 最大限に活用するためにも、その利点や限界について解説する。
TEXT BY DAVID NIELD
TRANSLATION BY KAREN YOSHIHARA/TRANNET
WIRED(US)
Google ChromeにFirefox、Microsoft Edge、Safari、そしてOpera--。ウェブブラウザーの好みは人それぞれだが、どのブラウザーにもネットでの閲覧内容を秘密にできると謳う「プライバシーモード」や「シークレットモード」と呼ばれる機能がついている。
このプライバシー(シークレット)モードを使えば、確かに特定の閲覧内容を秘密にすることは可能だ。ただし、PCやスマートフォンでどのようなデータを隠したり消去したりできるのか、あるいは何がその対象とならないのかを知っておくことは重要である。それを正しく理解できれば、この機能を最も有効活用する方法もわかるはずだ。
プライバシーモードでできること
簡潔に説明するとプライバシーモードでは、ユーザーがウィンドウを閉じた時点で、ウェブブラウザーがそのセッションそのものを「忘れてしまう」ようになっている。プライバシーモードでの閲覧履歴は一切保存されず、またその間に作成されたCookie(ユーザーのネット上での行動内容の一部を記録したデータ)もただちに消去される。
Cookieは、例えばAmazonのショッピングカートに商品を入れたまま数日放置してもカート内に商品が残っているようにしたり、ウェブサイト上でユーザーの訪問履歴の有無を記憶したりすることを可能にするものだ。
ニュースレターへの登録を希望するかといった質問が表示されるのが、通常は初訪問時のみであるのもそのためだ。逆にプライバシーモードでお気に入りのサイトを訪れると、訪問履歴が認識されないがゆえに、多数のニュースレターや会員割引の登録を何度も求められることに気づくだろう。
Chromeでシークレットモードのセッションを開くと、その機能の説明が表示される。 SCREENSHOT BY DAVID NIELD VIA GOOGLE
この種の匿名性こそがプライバシーモードの特徴であり、ユーザーはよくも悪くも改めて白紙の状態から始めることになる。例えば、プライバシーモードでTwitterやGmailを開いてみると、通常のように自動ログインされないはずだ。
同様の理由から、プライバシーモードで無料のコンテンツに限定されているウェブサイトを閲覧すれば、より多くの無料記事にアクセスできて便利なこともある(これはウェブサイト側から訪問履歴のあるユーザーとしてすぐには認識されないからだが、多くの有料サイトはそれを見破るために別の方法を使用している)。