米、TikTok売却命令 米事業を90日以内に

TikTokのロゴと米中両国の国旗(ロイター)
TikTokのロゴと米中両国の国旗(ロイター)

 【ワシントン=塩原永久】トランプ米大統領は14日、中国のIT大手、北京字節跳動科技(バイトダンス)に対し、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業を90日以内に売却するよう命じた。バイトダンスは米事業を米マイクロソフト(MS)へ売却する交渉を進めているが、中国ハイテク大手を米国から締め出す姿勢を改めて強調した。

 ホワイトハウスが発表した命令文は、バイトダンスが米国の安全保障を脅かすと「信じるに足る証拠がある」と明記。同社が米国に持つ資産や権利すべてを手放すよう命じている。

 バイトダンスは2017年、10億ドル(約1070億円)で米国で人気の動画アプリ「ミュージカリー」を買収し、ティックトックに統合。米市場で若者を中心にアプリを浸透させた。

 売却命令は、外国企業による対米投資を制限できる権限を根拠に、ミュージカリー買収を足掛かりにした米国事業により安保懸念が生じていると表明した。

 トランプ氏は3日、MSなど米企業によるティックトック米事業買収が成立しなければ9月15日に国内での運営を禁止すると表明。6日にはバイトダンスとの取引を45日後から禁止するとの大統領令を出した。

 米メディアによると、バイトダンス側は当初、一部出資を残した形でMSに事業売却し、経営への影響力を残すことを模索したとみられる。トランプ政権は完全売却を求めており、今回の命令では、バイトダンスによる売却状況を、米政府の審査機関「対米外国投資委員会(CFIUS)」が検証する仕組みを設けた。

 また命令は、同社が米事業にからんで保有する利用者情報などのデータを破棄することも指示している。

 6日の大統領令は、バイトダンスのほかに、中国の通信アプリ「微信(ウィーチャット)」を運営する中国IT大手、騰訊控股(テンセント)との取引禁止も盛り込まれた。米政府は9月下旬までに禁止する取引の詳細を決める方針だが、波紋も広がっている。

 米企業の一部は中国政府による報復措置を懸念。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)によると、バイトダンス従業員が大統領令に関して法的措置に出る準備をしているという。