私と新聞

河合塾理事長・河合英樹さん 研ぎ澄まされた情報から学べ 

【私と新聞】 河合塾理事長・河合英樹さん 研ぎ澄まされた情報から学べ 
【私と新聞】 河合塾理事長・河合英樹さん 研ぎ澄まされた情報から学べ 
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 「改革」の大波にもまれ続ける大学入試制度。受験生が、学校とともに大きな信頼を寄せるのが予備校の存在だ。6月、大手予備校「河合塾」の理事長に就任した河合英樹さん(37)は、大学入試にとどまらず、その後の人生を生き抜くためにも、新聞をはじめとしたメディアから、情報を能動的に取り入れていくことの大切さを説く。

 ◆責任あるメディア

 新聞やテレビのニュース、雑誌など、さまざまなメディアの情報を幅広く取り入れています。特に重要なテーマについては、いろいろな媒体から複数の情報を取り入れることにしています。メディア特性という意味で、新聞は、簡潔かつ明快に、研ぎ澄まして伝えています。紙面の制約から極限まで削り込まれ、かつ誤解を生まない情報を伝えられる媒体は、ほかにはありません。

 社会から大きな期待を込められ、かつ重い責任感を受け止めて発行されているメディア、という視点からも、新聞は唯一のものだと思っています。

 子供のころ家では、父が当然のように毎朝複数の新聞を読んでいました。受験前には、必要に迫られ私も新聞を読みましたが、特に貴重な経験となったのは不動産デベロッパーの企業に就職したときでした。

 朝早く会社に来て、業界紙を含めて10紙近い新聞に目を通し、不動産関連の記事や、上司に読んでもらうべき記事を切り抜く。慣れてくると、関連記事が政治面や社会面、いろいろな面にあることやニュースの相関関係も理解できる。網羅的に新聞を読むと、量の面でも、質の面でも効率的に情報を取り入れることができます。

 ◆理解した「つもり」

 子供たちについて「活字離れ」という言葉をよく聞きますが、子供たちの間には子供なりの「言葉」があり、コミュニケーションが成立している。ただし、閉じられた世界の中だったり、年齢や価値観の近い人だけのコミュニティーに限られていたりするケースが多いはずです。

 受け身で情報を得る、また自分の好きなニュースを選んでインターネットから得るだけでは、分かっている「つもり」の状態でしかなく、他人にも説明できない。自分の理解にも「穴」があるからです。

 私は現在、主に電子版、新聞紙面の形の記事を、ゆっくりとしたペースで読んでいます。気になる言葉に当たったとき、立ち止まって調べる。そうすると、世界的な背景や、政治経済との関連など、なぜそういうことが起きたのかも分かってきます。

 私たち河合塾も「情報をかみ砕いて人に伝える」ということを、果たすべき役割として掲げています。私たちへの期待は、まず大学入試を突破できる学力の向上であり、それに応えなければならない。

 一方で、将来の学びを意識した授業構成にし、社会に出てからも必要な「学ぶ力」や「学習力」「学び続ける力」を得るための本質的な理解力や表現力の育成についても、関係者や講師の間でしっかり議論しながら教材をつくっています。

 ◆自ら学び続ける力

 これからの社会は、変化のスピードもどんどん速まってきます。その中で、決まった正解のない問いに対応するため、自分自身が考えて実行していく力を、未来を背負う子供たちはもちろん、すでに社会に出ているわれわれも身につけなければなりません。

 河合塾は、中高生に対して「学びみらいPASS」や「ミライ研(未来研究プログラム)」などの教育サービスを提供していますし、大学入試に向け、学力強化だけでなく、自分で学び続ける、「自走」できるモチベーションをかき立てる指導を行っています。

 社会に対して常にアンテナを立てて、新聞に代表されるメディアから能動的に情報を取り入れ、それを深く理解するということを通して、自分がなりたい姿を目指してほしい。そのためには、自分がどうすればいいのかと答えを見つけて、常に「学び続けて」ほしいと思います。

【プロフィル】河合英樹

 かわい・ひでき 昭和57年、東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業。平成18年三菱地所入社。24年に学校法人河合塾に入り、総合企画部長、グループ経営戦略本部長を歴任し、30年に副理事長に就任。令和2年6月から現職。河合塾が経営するドルトン東京学園の学園長も務める。 

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