日本盛社長・森本太郎さん(39) 五輪ヨット代表から転身「今だからこそ」

日本盛社長の森本太郎さん(彦野公太朗撮影)
日本盛社長の森本太郎さん(彦野公太朗撮影)

 今年6月、130年以上続く老舗酒造会社「日本盛」(兵庫県西宮市)の15代目当主に就いた。2008年の北京五輪セーリングで7位に入賞した経歴もある。新型コロナウイルスの感染拡大で清酒業界には逆風が吹くが、「順風満帆のときより良いタイミング」と話す。就任に合わせて上野から創業家の森本に姓を改めた。

 日本盛に入社した平成24年当時も業績が伸び悩む苦しい時期だった。「戦わないと」。営業副本部長として、業界初のボトル缶入りの生原酒の販売で陣頭指揮を執り、同社の看板商品に育てた。

 高校、大学はヨット部で練習に打ち込む日々。しかし、全国大会で優勝できず、競技から離れて総合商社に就職した。転機は五輪出場を決めた大学の先輩の壮行会。「日の丸をつけた姿が格好良くて衝撃を受けた」と振り返る。

 周囲が反対する中、会社を辞めて競技に専念。海外遠征など活動資金は、チームのTシャツを作りかつての同僚や上司に売り歩いて捻出した。五輪代表に選ばれたときは「喜ぶより恩返しができるとほっとした」。

 商社への復職を経て、妻の父(森本直樹会長)からの誘いで日本盛に。主力商品ながら売り上げが落ちていたパック酒「晩酌」のリニューアルに挑んだ。

 しかし、役員会では「総スカン」。それでも「リスクを冒せるのは自分しかいない」と経営陣を口説き落とした。結果は売り上げ増という形でついてきた。

 清酒業界は市場縮小に歯止めがかからず、小さくなったパイを取り合う状況が続く。酒づくりは各社がこだわりつつ、流通などの分野では協力して効率化を進めるべきだと考える。

 努力して競争することの大切さ、応援してくれる人がいること-。五輪を通して得た経験を糧に挑戦を続ける。

(岡本祐大)

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