石川雅己区長による解散通知で空転状態が続いていた千代田区議会は12日、石川氏が前日に解散通知を撤回したことにより、臨時区議会が再開した。約2週間ぶりに議会に出席した石川氏は「区民並びに議員の皆さまに、多大なるご心痛をかけたことを深くおわび申し上げる」と謝罪した。臨時会の再開により、一律12万円支給の新型コロナウイルス対策を含む補正予算案は、9月1日にも成立する見通しとなった。
再開した議会では、解散騒動のきっかけとなった石川氏が家族と購入したマンションの取引をめぐる百条委員会も引き続き予定され、追及は続く。小林孝也区議会議長は議会後、「調査資料を確認し、証言に食い違いがあれば告発しなければならない」と述べた。石川氏も議会後、百条委について「真摯(しんし)に受け止め、誠実に対応する」と述べる一方で、百条委に対して「適正に、公平に取り組んでいただきたい」と注文もつけた。
また、全区民への一律12万円支給について石川氏は「新型コロナの感染拡大でそれぞれの家庭が置かれている状況は異なる。それぞれの判断で有効に使ってほしい」と報道陣に述べ、意義を強調した。
給付金を担当する地域振興部の担当者は「決まり次第、極力早く区民に届けられるよう準備したい」と話した。議会中断中も業務委託や受給資格の基準日の検討などの準備は進めていたといい、支給は決定から2~3カ月後を見込んでいるという。
議会再開後も区長と議会の対立は続くとみられる。こうした事態について区内に住む無職男性(71)は「議会の再開は当然ではあるが、なぜこんなに迷走したのか、腑に落ちない。ただ、12万円給付はきっちりやらないと区民が納得しないだろう」と話した。