香港警察、「雨傘」リーダー周庭氏を保釈 黎智英氏も近く

11日、保釈後に香港の警察署前で記者会見する周庭氏(左)(藤本欣也撮影)
11日、保釈後に香港の警察署前で記者会見する周庭氏(左)(藤本欣也撮影)

 【香港=藤本欣也】香港国家安全維持法(国安法)違反の容疑で10日に逮捕された著名な民主活動家、周庭(アグネス・チョウ)氏(23)が11日深夜、警察から保釈された。関係者によると、香港紙、蘋果(ひんか)日報の創業者、黎智英(ジミー・ライ)氏(71)も近く保釈される見通し。国安法は通常よりも厳しい保釈要件を定めているが、警察当局は2人の逮捕に対する反響の大きさを勘案して処遇を決めた可能性がある。

 周氏は保釈後、報道陣に「どうして逮捕されたのか全く理解できない。政治的な弾圧だ」と語った。周氏は2014年の香港民主化運動「雨傘運動」のリーダー。周氏の関係者によると、国安法施行後の7月以降、会員制交流サイト(SNS)を通じ、中国への制裁や敵対行動を外国に求めた疑いがもたれている。携帯電話や自宅のパソコンなどが押収された。

 香港政府や中国共産党への批判的な論調で知られる蘋果日報には11日、市民による支援の動きが広がっていた。黎氏の逮捕が報じられて以降、同紙を発行する壱伝媒(ネクスト・デジタル)の株価は11日までに約12倍に急騰し、同日朝、一部の店で同紙を買い求める市民の行列ができた。3、4部購入する市民もいた。

 同日付の同紙1面は、警察に連行される黎氏の写真とともに「蘋果(リンゴ)は絶対に負けない」の見出しを掲げた。その下に「報道機関への捜査は文明社会として受け入れられない。政府は私たちを脅して黙らせようとしている。香港の報道の自由は崖っぷちに立たされている」などとする声明を掲載。通常1日の発行部数は10万部以下だが、11日は55万部を発行した。

 同紙によると、家宅捜索で編集局に入った警察の要員は、机上の取材資料を調べるなど捜索令状に含まれない行為をしたという。