レバノン支援、米仏に温度差も マクロン氏「ヒズボラへの圧力はイランの術中」

爆発による煙が上がるレバノンの首都ベイルート=4日(ロイター)
爆発による煙が上がるレバノンの首都ベイルート=4日(ロイター)

 【カイロ=佐藤貴生】レバノンで起きた大規模爆発の被災支援を協議する国際会議が9日、旧宗主国フランスの主導で開かれた。支援の方向性をめぐっては、レバノン情勢の不安定化の回避を優先したいフランスと、イラン封じ込め策の一環としてイスラム教シーア派組織ヒズボラへの圧力路線をとる米国との間に温度差が表面化する可能性もある。

 この日までに爆発の死者は158人、負傷者は6千人を超え、20人以上が行方不明。8日夜には首都ベイルートで爆発の責任は政府にあるとする1万人規模の反政府デモが起き、一部が外務省など政府庁舎に侵入した。閣僚らの辞任が相次いで政府は機能せず、人道危機の懸念が強まっている。

 こうした中、テレビ会議形式で行われる支援会議には仏米のほか英中露、ヨルダンなどが参加。支援を申し出ているイランやイスラエルは「地政学上の理由」(仏当局者)から参加しなかった。

 ロイター通信は8日、仏大統領府高官の話として、マクロン大統領がトランプ米大統領と電話会談し、米国が圧力を強める政策を取れば「イランやヒズボラの術中に陥る」と述べ、支援で協調を保つよう求めたと伝えた。

 米国は、イラン革命防衛隊と関係の深いヒズボラを制裁対象としており、今後も圧力政策を継続する考えとみられている。

 マクロン氏は、爆発の被害でレバノンが危機的状況にある中で特定の政治勢力を圧迫することは、情勢のさらなる不安定化を招きかねないとして、米国に自制を求めた格好だ。

 ヒズボラは国軍を上回る軍事力を有する一方、系列の政党は国会議員も擁し、首相選出でも同意が不可欠なほど国内政治に大きな力を持つ。レバノンに深く根を張っており排除は難しいのが実情だ。

 在レバノンの親ヒズボラの政治評論家、ザハラン氏は取材に、「爆発はヒズボラとは無関係で、イデオロギーに基づくヒズボラとイランとの関係を変えることは不可能だ」と述べた。

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