【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米政権は7日、香港政府トップの林鄭月娥行政長官を含む香港政府高官や中国共産党幹部ら計11人を制裁対象に指定したと発表した。11人は米国内の資産が凍結され、米国人との取引が禁止される。
制裁は、トランプ大統領が7月14日に発令した、香港を中国本土と区別して認めてきた優遇措置を廃止する大統領令に基づく措置。林鄭長官らが中国政府の意向を受けて香港の自由と民主的手続きを侵害したことを問題視した。
ムニューシン財務長官は声明で「米国は香港の民衆とともにある」と強調し、香港の自治侵害に厳然と対処していくと表明した。
トランプ氏は、中国政府が香港国家安全維持法を施行し、これまでの「一国二制度」の原則の下での香港の高度な自治を根底から覆したとして、中国を追及する姿勢を打ち出している。
トランプ政権は先月末、香港政府が9月に予定された立法会(議会)選挙の延期を決めたほか、民主活動家ら12人の立候補を禁止したことに関し、「香港の繁栄を支えてきた民主的な手続きと自由を損なうものだ」(マクナニー大統領報道官)と非難していた。