田んぼダムで水害に強い街に 宇都宮市

田んぼダムに関する協定を結んだうつのみや中央土地改良区の野沢秀昭理事長(左)と宇都宮市の佐藤栄一市長
田んぼダムに関する協定を結んだうつのみや中央土地改良区の野沢秀昭理事長(左)と宇都宮市の佐藤栄一市長

 宇都宮市は、豪雨時などに水田の排水を抑制することで水害の軽減を目指す「田んぼダム」の普及に取り組んでいる。今年2月に策定した「総合治水・雨水対策基本方針」では、田んぼダムによる雨水貯留量の目標を設定し、大幅にクリア。昨年10月の台風19号時の市内の浸水状況などを踏まえ、水害に強い街づくりを進める。

 田んぼダムは、水田の排水口に調整マスを設置することで、豪雨時に一時的に雨水を水田に貯留して周辺河川などへの排水を抑制する仕組み。下流域での浸水被害を軽減する効果が期待される。

 2月の基本方針で市は、7月末までに対応する先行事業として、雨水貯留タンク設置や田んぼダム普及促進などによる雨水貯留量の目標を計約20万立方メートルに設定。うち約8万立方メートルを田んぼダムで達成する方針を示した。これに対し、7月末までに田んぼダムだけで21万立方メートルを確保。田んぼダム単体で目標全体の雨水貯留量を達成した。全体では目標の約1・6倍にあたる計約33万立方メートルになったという。

 目標達成には市内の農業従事者の協力がある。昨年10月の台風19号による豪雨で氾濫した市中心部を流れる田川。この上流の農業従事者で組織する「うつのみや中央土地改良区」と市は7月、田んぼダムの推進に関する協定を結んだ。同土地改良区ではこれまでに約100人の協力が決定していて、すでに58カ所で排水調整マスを設置しているという。

 台風接近時など豪雨が予想される場合には、気象庁などの情報を受けた市が同土地改良区を通じて協力者に連絡。排水調整を行うなどして減災を目指すことにしている。

 同市の佐藤栄一市長は「昨年の台風被害を受け田んぼダムの対策を行うが、予想以上の協力をいただいた」と農業従事者への謝意を示し、同土地改良区の野沢秀昭理事長は「今後も(田んぼダムの)普及を図っていく」としている。(松沢真美)

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