「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」ジャーナリズムの本質に迫る

「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」ジャーナリズムの本質に迫る
「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」ジャーナリズムの本質に迫る
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 英国人ジャーナリスト、ガレス・ジョーンズ(1905~35年)が、命がけでソ連という大国に一人立ち向かった実話を描いた「赤い闇 スターリンの冷たい大地で」。本作は、昨年のベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品されるなど高い評価を受けている。ポーランド出身のアグニェシュカ・ホランド監督に作品への思いを聞いた。(水沼啓子)

 劇中、「ホロドモール」(数百万のウクライナ人が餓死した大飢饉(ききん))の惨状が生々しく描かれている。「この作品の核心的な部分だ。脚色はせず誠実に描き、心動かすような場面にすべく、いちばんエネルギーを傾けた」という。

 また「スターリンによって隔離された場所で起きたので、ホロドモールの餓死者は沈黙、孤独のうちに亡くなっている。その数は350万人から800万人とも言われ、今も明らかになっていない。データはもちろん、墓標すら残っていない」と怒りを込める。

 撮影は、ホロドモールのシーンからスタートした。「スタッフやキャストにとって、この物語を語らなければという目的意識を持つ契機になったのではないか」と話した。

 映画化のきっかけは、祖父がホロドモールの生存者という米国人ジャーナリストから、本作の脚本が送られてきたことだと明らかにした。

 「ロシアという国に生まれ変わり、ソ連下で行われた不正、犯罪が忘れ去られ、許されてしまっていることが非常に気になった。世界中の人々はその事実を知るべきだ」と思い、監督を引き受けることになったという。

 また、「『ジャーナリズムとは』『フェイクニュースとは』『真実を操作するとは』という問いかけが、この映画を撮る理由の一つでもあった。民主主義が滅びることがないように誠実なジャーナリズム、腐敗していないメディアが必要だ。そんなことを想起しながら、この作品を見てほしい」と訴えた。

 14日から、東京・新宿武蔵野館、大阪・シネ・リーブル梅田などで全国順次公開。1時間58分。

 【あらすじ】 1930年代初頭、英国人ジャーナリストのガレス・ジョーンズは世界恐慌にもかかわらず、スターリン政権下のソ連だけが繁栄していることに疑問を抱き、単身モスクワを訪れる。密かに穀倉地帯に潜入し、農業の集団化政策の失敗でウクライナ人を大量に餓死させている事実を突き止め、世界に伝えようと試みるが…。

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