NHK、肥大化の疑念払拭できず 改革乏しい次期経営計画案

 中期経営計画のキーコンセプトとして「NHKらしさの追求」が掲げられている。その意図を7月の会見で聞かれた前田晃伸会長は「民放が評価されている放送をまねするというのはやる必要はないと思っている」と述べ、「NHKでなければできないものをやること」と説明した。NHKでは民放と同じような番組が散見される。公共放送に真に必要な事業に絞り込み、余計な費用は受信料値下げという形で、視聴者に還元すべきではないか。

 世帯数減少とテレビ離れの進行で、放送のみの受信料では安定的財源といえない時代が訪れる。そのとき、ネットユーザーに受信料を求めても、現在の姿勢では理解は得にくいだろう。NHKが今後も公共放送、公共メディアとして存続するためには、身を切る改革が避けて通れない。(森本昌彦)

 ■立教大の砂川浩慶(すなかわ・ひろよし)教授(メディア論)の話 「視聴者にとって最も重要な『NHKが今後3年間どのようなサービスを提供していくのか』ということが見えてこない計画となっている。またAMラジオとBS(衛星放送)チャンネルを削減するということだが、とくに災害時にいまだ有用なラジオは予算が小さく、費用対効果が微妙で、これまでNHKが培ってきたネットワークを失うことにもつながり、視聴者のメリットはあるのか。衛星受信料など重要な財源に切り込むことはせず、ただ肥大化に対する批判をかわすだけの計画に感じる」

 ■専修大学の山田健太教授(言論法)の話 「『公共メディア・NHK』とのことだが、高市総務相らに言われた通りのことを策定しただけで、目指すべき公共メディアの全体像が見えてこない。また、自らを公共メディアとして位置づけるならば、かんぽ生命保険の不正販売を報じた番組を巡り、介入を禁じる放送法に抵触しかねない行いをした経営委員会をまず正すべき。ガバナンスが崩壊している経営委員会が、公共メディアの将来を左右する経営計画を評価するというのはおかしな話だ」

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