行橋の漁村に産廃業者の開発計画 住民は反対運動

「新工場」立地予定地近くには、地元住民との協議を求める市役所の看板が立つ=福岡県行橋市
「新工場」立地予定地近くには、地元住民との協議を求める市役所の看板が立つ=福岡県行橋市

 豊前海に面してカキ養殖などが盛んな漁村が、産業廃棄物関連業者の開発計画に揺れている。福岡県行橋市の蓑島(みのしま)地区の漁場のすぐ近くで、産業廃棄物の収集・運搬と中間処理の許可を持つ業者が「新工場」の建設予定を地域住民に告知したのが発端だ。住環境はもちろん漁場への影響を懸念し、地区を挙げた反対運動が盛り上がる。

 5月末、近隣の住宅に「ご挨拶」とした文書が投函(とうかん)された。県内で複数の産廃中間処理工場を操業する木下金属の社長名義で「新工場建設につき、それに伴う工事をさせていただく」などと書かれていた。予定地の半径500メートル以内には海水浴場や漁港、田畑、市立蓑島小学校などがある。

 文書で示された付随工事は、工場建設予定地と、隣接する県道との高低差を解消するもので、県の許可を受けて施工された。

 新工場については概要が明らかにされていないが、「すでに許可を受けている産廃の種類や処理方法の範囲内であれば届け出によって操業は可能」(県廃棄物対策課)だ。このため、地元は「木下金属による産廃中間処理工場が稼働する可能性がある」と反発。住民や漁協などが中心になって開発に反対する「海と緑を守る会」を結成。7月23日に総会を開き、木下金属側に開発反対を求める運動方針を確認した。

 地元でカキ養殖業などを営む女性(36)は「もし水質悪化など環境被害があれば、逃げようがない。自分たちは家はもちろん、職まで失ってしまう。不安は非常に大きい」と話す。

 産経新聞は複数回、木下金属側に開発計画の概要や、地元住民による反対運動に対する見解を問い合わせたが、3日までの時点で同社の担当者は「社長が不在で、コメントできない」と回答した。