三島由紀夫没後50年 生涯をバレエで表現 東京バレエ団「M」

東京バレエ団・上野水香(KENTARO MINAMI撮影)
東京バレエ団・上野水香(KENTARO MINAMI撮影)

 今年は文豪、三島由紀夫の没後50年。三島の生涯や世界観を、バレエダンサーが身体言語を使って表現したら-。振付家の巨匠、モーリス・ベジャール(1927~2007年)が東京バレエ団のために創作した「M」は、まさに究極の創造に挑んだものだ。今秋、10年ぶりに東京文化会館(東京・上野)で上演される。同バレエ団プリンシパルの上野水香(うえの・みずか)に聞いた。(水沼啓子)

 「M」は平成5(1993)年に初演されたが、舞踊・演劇界のみならず、美術界や文芸界、思想界などからもセンセーショナルな反響を呼んだ。

 「M」は三島の作品にたびたび登場する海の場面から始まる。少年が登場し、彼自身の魂の遍歴をたどるかのような旅を始めるという設定。狂言回しとして4人の分身も登場し、4人目は死も表している。

 「鏡子の家」「禁色」「鹿鳴館」「午後の曳航(えいこう)」「金閣寺」「豊饒(ほうじょう)の海」といった傑作群や、三島の美学的モチーフ「聖セバスチャン」、三島が結成した民兵組織「楯の会」などが舞台上でそのイメージを展開。やがて「憂国」から自決へ、そして海へと回帰する。

 音楽は、能楽などの日本の伝統音楽を基調としたオリジナル曲(黛(まゆずみ)敏郎作曲)をベースに、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」から「愛の死」などが使われている。

 前回(22年)、重要な「女」という役を初めて演じた上野は、「三島さんの世界観の中にある女性は芯が強くて、男性をひきつける魔性を持っているイメージ。鋭さや、男性に立ち向かっていくといった振り付けが多く、音楽もシャープでリズムだけみたいな感じ。とにかく難しかった」と振り返る。

 秋の公演に向け、リハーサルも始まった。今回も「女」役だ。「前回は自分で役を作り込もうとしていたが、今回は振りの中にある意図をしっかりくみ取った上でシンプルに表現していこうと思う。練習を重ねていく中で、そこを深めていければ、より魅力的な『女』役になるのではないか」と意気込む。

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