九州を襲った豪雨災害から間もなく1カ月。熊本県では、いまなお約1500人が避難所生活を続けている。新型コロナウイルス対策として段ボールベッドなどを迅速に設置した避難所もあり、現在のところ避難者にコロナ感染者は出ていない。ただ、梅雨が明けた被災地は30度超の暑さが続いており、避難者には疲労の色がにじむ。県の担当者は「避難の長期化は避けられず、今後も気を緩めることはできない」と話している。(小松大騎)
新型コロナ感染者ゼロ
最大で約430人の被災者が身を寄せた同県人吉市の避難所「人吉スポーツパレス」。市の担当者は「コロナと豪雨の対応に追われた手探りの1カ月だった」と振り返る。
同避難所は豪雨直後の7月4日午前4時ごろに開設。想定以上の避難者が駆け付け、十分な居住空間を確保するため1階のアリーナ以外に、2階のスペースでも受け入れた。
避難所を出入りする人への検温や手指の消毒、マスク着用の要請は日課となった。現在は避難者は市内の住民に限り、ほかの自治体の派遣職員や医療関係者らを除き、県外のボランティアや報道関係者の立ち入りを規制。避難者との面会は親族らに限定するなど、コロナ対策に神経をとがらせる。
市の担当者は「幸い避難所ではコロナ感染者のほか、インフルエンザなどの感染症も出ていない。まだまだ気を抜けないが、迅速な避難環境の整備が重要だったと感じた」と話す。